Einstein

第 3 弾は Einstein さんのお話です。
相対性理論の Einstein さんではなく、息子さんの Hans Albert Einstein、土木工学者で土砂水理学のオーソリティーのお一人です。

生立ち

  • 1904 年 5 月 14 日、スイスのベルンで Albert Einstein (1879-1955) と Mileva Marić. (1875-1948) 夫妻の長男として出生。ちなみに特殊相対性理論の発表は 1905年
  • 1914年、両親の不仲により、母親、姉 Lieserl、弟 Eduardとともにチューリッヒで別居(1919 年に離婚)
  • 両親の母校スイス連邦工科大学(ETH)で土木工学を学ぶ。1926 年学位取得
  • 1927 年、Frieda Knechtと結婚(四子を設けるも 1958 年死別)。当時、父親との関係修復
  • ドルトムントの橋梁プロジェクトに参画の後、1931 年、ETH チューリッヒ校に新設された水理・土質研究所に就職
  • 1936 年 “Bed Load Transport as a Probability Problem” で博士号を取得
  • 1938 年、ナチの迫害を逃れて 5 年前に渡米していた父親を頼って移住。農務省で流砂の研究に従事
  • 1943 年、カルフォルニア工科大学に移籍。1947 年にバークレー校の准教授に就任。国際的に土砂水理学の発展に寄与し、名誉教授まで進む
  • 1973 年 7 月 26 日 マサチューセッツでの学会中に倒れ逝去。69 歳

研究業績

  • 掃流砂は河床の形状抵抗に依存する(Brown 式では評価不能)。また決定論的に定量化する事は不能で確率論的に扱うべき
  • この仮説と模型実験・野外観測の成果にもとづいて米農務省在籍時の 1942 年 に掃流砂量式を発表。当式は以下の特徴をもっている
    • 移動と停止を繰り返す砂礫の運動を揚力と重力の超過確率で表現
    • 河床せん断応力を砂粒によるものと河床波によるものに分離
  • 今日、河床の形状抵抗を考慮する事は当然視されているものの、確率論的に扱う事は(理屈は否定しようもないが)摘要が難しいため、Meyer-Peter & Müller による経験式を祖型にもつ掃流砂量式が主流になっている(ただし当式は ETH 時代の Einstein の研究に大きく依存している)
  • 発想の多くは現在の土砂水理学のルーツをなす