河川計画村では貯留方程式
$$
\frac{\mbox{d}H}{\mbox{d}t} = \frac{I – O}{A}\,,\quad
A = \frac{\mbox{d}V}{\mbox{d}H}
$$
の数値解法として次の Ekdahl の方法が伝統的に用いられている。
$$
C_2 \equiv \frac{V_2}{\Delta t} + \frac{O_2}{2} = \frac{I_1 + I_2}{2} + C_1 – O_1
$$
で「エクダールの方法」でググると、ヒットするコンテンツは村のものだけで一般的な数学の話題としてな何も出てこない。つまり、村の常識と世間一般のそれとでは大きく乖離している。
世間では「古典的ルンゲ・クッタ法」が代表的な常微分方程式の数値解法として使用されている。
$$
\begin{align*}
y(x + h) &= y(x) + \frac{h}{6} (k_1 + 2 k_2 + 2 k_3 + k_4) \\
k_1 &= f(x, y) \\
k_2 &= f(x + \frac{h}{2}, y + h \frac{k_1}{2}) \\
k_3 &= f(x + \frac{h}{2}, y + h \frac{k_2}{2}) \\
k_4 &= f(x + h, y + h k_3)
\end{align*}
$$
上の貯留方程式では \( x = t \) 、\( y = H \) 、\( h = \Delta t \) と置き換えて
$$
f(x,y) = \frac{I(x) – O(y)}{A(y)}
$$
である。 反復計算を伴う Ekdahl の方法にくらべて計算量が激減する。
Ekdahl の方法はコンピュータが超高嶺の花の時代に用いられていた図解法(あらかじめ \( H\sim V\sim C\) の数表を用意)で、今更、積極的に用いる理由は全くない。端的に言って数値解の精度も低い(古典的ルンゲ・クッタ法が 4 次精度であるのに対して、Ekdahl の方法は陰解法ではあるものの時間変化を 1 次差分で表しているので 1 次精度)。
という訳で因習は早々に廃止しよう!